客観的事実より大切なこと
クライエントの主観的心理の方が、客観的事実より大事です。
人々は客観的事実を追求するあまり二次的被害を与えます。
いじめの客観的事実関係を確認しようとするから、いじめ被害者は傷つくのです。この先生にはわかってもらえないと思うのです。
その子がいじめ被害を訴えたら、まずその子の主観的語りを聴くことが大切です。主観的語りを聴く時に大切なことは当たり前だけど真実だと思って聴くことです。
虐待の支援の場でも、被虐待の語りを真実かどうか確認しようとする言動が支援者たちにみられることがあります。でも、そのスタンスそのものが被虐待児を二次的に傷つけるのです。
DVや性的被害者に客観的事実を確認しようとして語らせることが、さらに大きく被害者を傷つけます。
いじめ、虐待、DV、性的被害者は、心身が動揺しながら恐怖におびえながらメンタル不安定なまま、被害をやっとの思いで訴えるのです。
語りの揺れや認知のブレがあって当然でしょう。そこには主観的語りと客観的事実のずれが生じるものです。だからといって、その人たちが被害に遭い、大きく傷ついているという事実に、変わりはないのです。
それに客観的事実とはなんでしょう。人々の心理や認知から独立した客観的事実そのものなど存在しないのではないでしょうか。いじめ問題でも、似たような言動でも、ある人はいじめととり、別の人はいじめととらないということが起きます。
いじめがあったかなかったかは、被害者の主観によって決まるのです。
それらの支援者たち、特にカウンセラーは、まず被害者の語らいを丁寧に聴き取り真実として共感していくことが大切なのです。