トラウマを受けている若者にどうトラウマケアを届けるか

多くの人がトラウマを被っている。特に若者相手の仕事をしていると、多くの若者がトラウマ的な症状に苦しめられている。最近の若者がすぐ死にたいという言葉を口にし、落ち込みやすいのもトラウマが背景にある。離人症や解離性健忘のようなことを語る者もいる。

そんな彼らにトラウマケアをどう提供すればいいか。
まず、現在も進行形でトラウマを被るような状況が続いているなら、環境を整えてそういう危険な状況から助けることが先決である。虐待、貧困、暴力、DVなどなど。しかし、そのことも大仕事であり、学校、心理、福祉、医療などの連携した支援が必要である。

続いてどうするか。
安全が確保されたからといって、すぐにメンタルが落ち着くわけではない。心身の危険な状態から避難したばかりの若者は当然自分や人生や他人を肯定的にみられない。当然だが心の安心基地が育っていない。心の安心基地を少しずつ育むことである。
でも、ひどいトラウマを受けている人ほど、そういう心の安心基地となるような対象がない。
たとえば、私なら、沖縄の海、イエスキリスト、親鸞、呼吸などに意識を向けるとほっとする。それらが心の安心基地であるが、トラウマが強い人ほど、その例えを聴いて、かえって自分にはそんなものがないと戸惑うようである。それでも、彼らに時間をかけて、好きな色、匂い、動物などから心の安心基地をつくる。

そのあとどうするか。本当はトラウマセラピーを受けさせたい。しかし、特に若者にとって、継続的なトラウマセラピーを受けることは金銭的に大変である。そこで、基金を募ったり、クラウドファンディングをネット上で募って若者に安価にトラウマセラピーを行なうことができないだろうか。

あるいは今のトラウマセラピーは個別にしか行わないが、グループトラウマセラピーが開発できないだろうか。そうすれば安価に提供できるかもしれない。でも、グループで安易にトラウマを扱うことは危険であるという意見もあるであろう。

トラウマケアをどう若者に届けるかは大きな課題である。

2023年03月30日