「共感したフリ」はいらない

あなたは、カウンセラーとしてクライエントに対して、本当は共感していないのに、なんとなく共感のふりをする言動をしていないでしょうか。

それを私は、「偽りの共感」と呼んでいます。

厳しい言い方をしているのは、「偽りの共感」によって傷つくクライエントが大勢いるからです。本当は共感していないのに、共感しているフリをされたら、ダブルバインドであり、クライエントは傷つくのではないでしょうか。

日本のカウンセラーの多くは、ロジャーズの理論を最初に学びます。ロジャーズは、「受容」「共感」「自己一致」の3つをカウンセラーの態度条件としました。しかし、「自己一致」と「受容」が日本ではよく理解されておらず、「共感」だけが一人歩きしている感じです。

そのため、中途半端にそれらを学んだカウンセラーは、面接の時、強迫的に「共感しなきゃ」と思っているので、強引に「それはつらいねえ」「たいへんねえ」と共感的言動をすることがあります。

自分が強迫的に共感しようとしていることに、日本のカウンセラーは自覚的であるべきです。

それは、クライエントの語る内容が論理的にはつらそうな状況だったので、カウンセラーが実感がないのに、論理的に共感的言動を言っているだけです。

そういう過ちが、日本の心理臨床の場面で繰り返されているような感じがします。

ではどうすればいいか。

無理に共感するよりも、まずクライエントの状況をしっかりと知ることです。ロジャーズ理論が質問や助言に抑制的である(と誤解されている)ため、日本のカウンセラーは、ろくにクライエントの状況を知りもしないで、「偽りの共感」をしてしまうのです。

クライエントから具体的場面の具体的状況を聴いていれば、結果として自然と共感をしてしまうのではないでしょうか。

共感とは、具体的状況を丁寧に聴いていて結果として「至る」ものであって、無理に「する」ものではないと思います。

日本のカウンセラーは、共感をしようとする前に、クライエントの状況をしっかり把握すること、丁寧に聴いていくことが大切ではないでしょうか。(和)

2020年12月30日